3月にシリコンバレー銀行の破綻が起こり、数日後はシグネチャーバンクが破綻、そして5月になるとファースト・リパブリック・バンク破綻するなど、地方銀行の破綻が続いており金融不安が続いています。
その後も、次に破綻する銀行を探し続けるかのように地方銀行の株価は大きく下がっており、パックウェストバンコープなどが身売りや会社分割などを検討しているとの報道が流れた為、株価は大きく下がりました。
銀行の破綻が連鎖するのではと不安が広がっているね
疑心暗鬼になって次は何処なのかと市場が怯えていますよね
今後、金融不安はどうなっていくのか?
まずは、今での状況を振り返りながら、現在の状態を見ていきたいと思います。
シリコンバレー銀行の破綻
まずは、3月にシリコンバレー銀行が破綻します。
ハイテク新興企業を中心に商売をしていたシリコンバレー銀行は、手元資金が薄い新興企業が景気悪化に伴ってキャッシュを確保するために預金を引き出し始めた為、キャッシュを補充する必要がありました。
キャッシュを手当てするためにシリコンバレー銀行は保有している債券を売却する必要があったのですが、FRBによる急激な金利引き上げによって保有している債券には逆ザヤ状態になっており、満期まで保有せずに途中売却すると損失が出てしまう事になってしまうのです。
仕方なく損失を覚悟で債券を売却する事になったシリコンバレー銀行ですが、この情報は一気に拡散され、経営不安が高まり、もしも破綻した際に保護されない大口預金顧客達(25万ドル以上の預金者)は安全のために預金を動かす事を決断します。
シリコンバレー銀行の大口預金割合は、預金全体の88%という非常に高い状態であり、多くの大口預金顧客が我先にと資金移動を行ったため、激しい預金流出が起こり、手元資金が枯渇してしまい、シリコンバレー銀行はあっという間に破綻してしまいます。
そして、数日後には、シグネチャー銀行も破綻します。シグネチャー銀行も大口預金顧客の割合が90%という非常に高い割合となっていた事がアダとなりました。
シリコンバレー銀行は全米第16位で資金規模は2090億ドル、シグネチャー銀行は全米29位で資金規模は1130億ドルでした。
過去に破綻した銀行で最大の破綻は、2008年9月に破たんしたワシントン・ミューチュアルで、その当時の全米第6位の銀行で資産規模は3250億ドルでした。
シリコンバレー銀行やシグネチャー銀行は、この時点でワシントン・ミューチュアルについで大きな銀行破綻となり、今までに破綻した銀行の規模では第2位と第3位という大きな規模の銀行破綻でした。
ファースト・リパブリック銀行の破綻
5月1日になるとファースト・リパブリック銀行も破綻する事になってしまいます。
ファースト・リパブリック銀行もシリコンバレー銀行やシグネチャー銀行と同じように大口預金顧客の比率が高い銀行でした。大口預金顧客比率は67%となっており、シリコンバレー銀行に比べると低いですが、それでも一般の銀行と非常に高い水準となっていました。
シリコンバレー銀行が破綻した事によって、シリコンバレー銀行やシグネチャー銀行に次いで大口預金顧客比率が高かったファースト・リパブリック銀行の預金は急速に流出しており、危機感を持った大手銀行は協力してファースト・リパブリック銀行へ支援を行います。大手銀行11行が3月16日に300億ドルの緊急支援をしました。
しかし、それでも顧客の不安は解消されず、積極的に住宅ローンを提供していたファースト・リパブリック銀行は金利上昇によって多額の含み損を抱えていた事も重なり、経営不安が高まる事で預金の流出を止める事が出来ずに破綻へと追い込まれていきます。
ファースト・リパブリック銀行は全米14位で資産規模は2291億ドルでした。ファースト・リパブリック銀行はシリコンバレー銀行よりも規模の大きな銀行であり、これによって今までに破綻した銀行の中では第2位の銀行という事になりました。
一連の銀行破綻によって、過去の破綻した銀行でも規模の大きい銀行破綻が続いており、銀行破綻の規模で第2位~4位の銀行破綻を記録するという歴史的な出来事となったのでした。
パックウェストバンコープが揺れている
5月1日にファースト・リパブリック銀行が破綻した事で、更に次に破綻する銀行を探す魔女狩りが行われるようになってきました。
その急先鋒にあげられたのがパックウェストバンコープです。全米53位の銀行で資産規模は443億ドルです。
5月3日に、パックウェストバンコープが身売りや会社分割などを検討しているとの報道が流れたことでパックウエストバンコープの株価は50%以上も暴落しました。4月25日に発表していた決算発表で3月末時点の預金残高が22年末と比較すると17%減少していた事も下落に拍車を掛けました。
パックウェストバンコープは、「シリコンバレー銀行が破綻した3月12日以降は、異常な資金流失はみられていない」と市場からの不安を払拭するように発表していました。3月末時点の預金額は282億ドルであり、5月2日時点の預金額は280億ドルだったので、あまり変化はありませんでした。
ところが、事態は急変します。パックウェストバンコープは5月11日に「先週の5月1日~5月5日の1週間で預金が9.5%も流出した」と発表します。これにより、パックウェストバンコープの株価は再び大きく下落する事となりました。
ただ、パックウェストバンコープは破綻したシリコンバレー銀行やファースト・リパブリック銀行とは違って、大口預金顧客の比率は低く、大口預金顧客比率は25%程度です。なので、大口顧客の資金移動は限られています。
とはいえ、不安に駆られた預金者は大口でなくても資金移動する事も充分に考えられ、予想以上に資金流出が起こる事も想定され、市場は疑心暗鬼に陥っています。
パックウェストバンコープは、住宅ローンなどで固定金利での貸し出しをしているため、金利上昇時は時価評価額が下がってしまい、資産評価額は含み損になってしまいます。貸出債権の簿価と時価の差である含み損は昨年末時点で17億8000万ドルになっていました。
これらによって、パックウェストバンコープは大きく揺れ動いています。
今後も銀行破綻は続いていく
さて、今後はどのようになっていくのか?
銀行の破綻は今後も続いていくのではないかと思っています。
パックウェストバンコープ以外にも危ないなと感じる地方銀行もあります。
次回は、次なる危険な銀行をご紹介しながら、現在の状況と今後の予測をお伝えしていきたいと思います。
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