数年前までは保有している投資家も多く、未来を期待されていたアリババ。翼を鷲掴みされて身動きが取れなくなったアリババは大きく失速してしまい、業績は低迷していました。
そんなアリババの決算が先日発表されていました。
そろそろ中国当局の規制も終わって欲しいね
アントへの規制もそろそろ終わるみたいだけど本当かなとも少し思うよね
失った信頼を取り戻すのはとても困難で、離れていった投資家達を呼び戻すのには厳しい状況です。
それでも業績が戻ってくるようであれば、投資家へ徐々にアピールする事で活気ある市場へと時間が掛かったとしても戻ってくることがあるかもしれません。
それでは、中国株市場を牽引する存在であるアリババの決算を確認してみましょう。
Alibaba2024年度第1四半期(1Q:2023年4月~6月)決算
Alibaba2024年度1Q(2023年4月~6月)決算
売上高 2341億5600万元(13.9%増加)
営業利益 424億9000万元(70.3%増加)
純利益 343億3200万元(50.9%増加)
1株利益 1.66人民元(56.6%増加)
(市場予測)
売上高 2249億2000万元(上回る)
(決算資料:アリババ公式サイトより引用)
売上が1年半ぶりに二桁成長へと戻ってきましたね。最近は売上の伸びが低空飛行で一桁台を確保するのがやっとだったのですが、ようやくアリババらしい売上の伸びになってきたように感じます。
営業利益も大幅増加となっています。これは、今までEC部門だけが黒字だったのがクラウド部門や物流部門、エンターテイメント部門など複数の部門で黒字化に成功した事が大きいと思います。
純利益に関しても、営業利益の大幅増加に伴って順調に増えている状態となっています。
一時的な影響を除いた非GAAPベースの利益もみてみましょう。
非GAAPベースの利益
純利益 449億2200万元(48.4%増加)
1株利益 2.17元(47.6%増加)
順調ですね。アリババの決算で久しぶりに順調な決算を見た感じがします。
部門別の売上
では、次は部門別の売上(2024年度1Q)をみてみましょう。
国内電子商取引 1149億5300万元(12.1%増加)
国際電子商取引 221億2300万元(40.7%増加)
国内消費者サービス 144億5000万元(29.8%増加)
物流部門 231億6400万元(33.9%増加)
クラウド 251億2300万元(41.2%増加)
エンターテイメント 53億8100万元(35.6%増加)
その他 455億4100万元(0.8%増加)
(決算資料:アリババ公式サイトより引用)
ようやくアリババが上向いてきました。最大の主力事業である国内電子商取引部門は、2023年1Qから続いていた4期連続のマイナス成長がついにストップしてプラス成長へと持っていけていました。しかも二桁成長となっていたので素晴らしい結果だったと思います。
好調だったのは国内電子商取引部門だけでなく、成長性に最重要なクラウド部門を含めて全ての部門で大幅増加しており絶好調な状態でしたね。
去年とは違ってゼロコロナ政策が解除された事もあって消費者の心理も上向いており、売上は大きく復活しています。
部門別の営業利益
部門別の営業利益も確認してみましょう。
国内電子商取引 493億1900万元(9.0%増加)
国際電子商取引 −4億2000万元(赤字縮小)
国内消費者サービス −19億8200万元(赤字縮小)
物流部門 8億7700万元(黒字化)
クラウド 3億8700万元(黒字化)
エンターテイメント 6300万元(黒字化)
その他 −12億0400万元(赤字縮小)
今回の決算で素晴らしいと感じたのは、今までは国内電子商取引部門だけが営業利益が黒字で、あとの部門は全て赤字だったのですが、今回の決算では国内電子商取引部門だけでなく、クラウド部門・物流部門・エンターテイメント部門などの複数の部門が営業利益が黒字化していた事ですね。
収益性も向上しており、アリババ復活の一歩が見えてきた感じがします。
アントの業績
アリババは、アントグループ(アント・フィナンシャル)が上場中止になっているので、アントの持分法投資先の利益がアリババには含まれています。なので、持分法投資先の利益も確認してみましょう。
(すべての持分法適用会社の業績に関しては、1四半期遅れで計上されています)
アントの持分利益は、前年が37億元だったのですが今期は43億元と増加しています。アントに対する中国政府の厳しい規制や指導もそろそろ終わりが近づいてきているという報道もあり、アントは今まで業績が落ち込んでいたのですが、中国当局の規制や指導が落ち着くようであれば今後の業績は回復していきそうですね。
アントの持分利益は、アリババの利益に対して一定の影響を与えるので、この調子を維持してほしいですね。
まとめ
アリババは前回の決算の際に、持ち株会社に移行した上で事業を6つに分け、新規株式公開(IPO)や外部からの資金調達を認める方針を打ち出していました。今回の決算は、新しい体制に移行して初めての決算となります。
ダニエル・チャンCEOは、「組織の変革を通じてイノベーションを促進し組織の活力を高め、事業が長期的な成長に集中できるようにする」と述べており、今回の決算内容をみても新体制への効果が表れてきているのではないかなと感じます。
6月に開催された中国のネット通販一大イベントでもある「618セール」も好調だったみたいで売上アップに貢献しており、また外部顧客との取引も好調だった事からクラウド部門や物流部門なども順調に売上を伸ばしていました。
今期の自社株買いは、3,560万枚のADS(香港株2億8,440万株に相当)を31億米ドルで買い戻しています。残りの自社株買いの枠は2025年3月の期限までに約163億ドルが残っているそうです。
今回の決算は、アリババにとって重要な売上の伸びがしっかりと復活してきており、どの部門も好調でした。売上だけでなく、利益もしっかりとついてきていたのはホルダーにとっては嬉しい誤算だったのではないでしょうか。
この調子を維持でいるようであれば、アリババの復活は近いのではないかと思います。
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