今後の普及が期待されている生成AI。開発競争の先頭を走っているオープン AIを筆頭に生成AIを稼働する為のデータセンターを確保する事が急務となっており、アマゾンやマイクロソフトといった各クラウド主要プレイヤーもデータセンターの増築を急ピッチで進めています。

生成AIの開発スピードとデータセンターの増設スピードが凄いね



クラウドの需要に対してデータセンターの供給が追い付いていないね
各クラウド企業がデータセンターをドンドンと作っていっており、容量を増やしていく事で生成 AIからの売上が上がっていくとクラウド企業の業績が上昇していきます。それを見越して投資家達がクラウド企業の株式を購入する事で先回りで株価が上がっていく展開が今年は続いていました。
米国株は空前のAIブームとなっていて、AI関連銘柄であれば他の銘柄と比べると上昇率が高く、AIへの期待の高さが現れている展開となっていますね。
「生成AIの普及 → データセンター不足 → データセンター増設 → クラウド企業売上増加」
このような流れになっていくと想定されている感じなのですが、これは米国に限った話ではないと思います。他の国でも同じような流れになっていくだろうし、米国と激しい先頭争いをしている中国も同じような感じになっていくと思います。
中国は情報保護の観点から米国のクラウド企業を使わずに自国(中国)のクラウド企業を使う事が多いです。なので、中国も生成AIの開発・普及が進むにつれてクラウド企業のデータセンター不足に陥り、データセンターの増設が相次ぐ展開になる可能性が高いです。
「中国のクラウド企業のシェア率」
| 中国クラウド企業 | アリババ | ファーウェイ | テンセント |
|---|---|---|---|
| シェア率 | 33% | 18% | 10% |
ファーウェイは上場していないので投資する事が出来ないのですが、アリババとテンセントには投資する事が可能です。そして、生成 AIが普及していけばクラウドを運営しているアリババやテンセントも大きな恩恵を受ける事が出来ると思います。
中国IT企業は、中国政府からの締め付けによって利益が損なわれるような状態がありました。それを危惧されて投資家が中国株を敬遠するようになっていた事から、株価も以前のような人気はなく、米国株と比べると値動きが遅れています。
生成AIの人気によって米国ハイテク企業は大きく買われる展開となっていました。一方で中国株は今まで投資家に敬遠されていた分、今年になってからは後れを取り戻す動きが強まり、大きく上昇していますが、米国株と比べるとまだ割安感が残っています。
「米国クラウド企業と中国クラウド企業のPER」
| クラウド企業 | アマゾン | マイクロソフト | アリババ | テンセント |
|---|---|---|---|---|
| PER | 35.3倍 | 36.1倍 | 19.2倍 | 26.4倍 |
アマゾンやマイクロソフトの決算を見れば分かるようにクラウドの利益率は高いです。そして、クラウドからの収益が今後ますます増加していくのであれば、中国でクラウド事業を展開しているアリババやテンセントの利益率も向上していくと思います。
中国の政治的な要因も絡んでアリババやテンセントは、今でも投資家の信頼を取り戻したとは言えない状況です。しかしながら、従来よりも中国政府はハイテク企業寄りの姿勢を見せており、一連のハイテク企業規制の大きな要因となったアリババ創業者のジャック・マー氏への中国政府の風当たりも非常に緩くなっていて、暫く表舞台から去っていたジャック・マー氏が最近は公式行事に出てくるようになりました。
生成AIの主導権を握る事で今後の世界経済・世界政治の動向を左右する可能性がある事から、中国政府も生成 AIに力を入れるはずであるし、それであればアリババやテンセントの力が必ず必要となります。
中国のクラウド市場を牽引しているアリババやテンセントは今後注目が高まっていくのではないかなと考えています。


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