不正アクセス騒動に揺れている証券業界。各社ともセキュリティ強化に努めており、色々と対応をしている最中ですね。さて、最近はセキュリティ対策ばかりがクローズアップされがちですが、楽天証券においては新しい商品が販売・提供されるようです。「楽天・マネーファンド」という名称の円建ての公社債投資信託(MMF・マネーマネジメントファンド)が6月5日から提供開始されるようです。

低金利の為に販売が終了していた円建てMMFが復活したね



楽天から「楽天・マネーファンド」が販売されるね
公社債投資信託(MMF・マネーマネジメントファンド)とは、安全性が高く低リスクな公社債などで資金を運用する投資信託の一種です。投資対象に株式を組み込むことがなく、公社債のみで運用されているので元本の安定性を重視し、ローリスクな運用となっています。普通預金などの元本保証商品よりは金利が高くなるので、余剰資金の安定的な運用先として選択される事が多いです。
昔は円建てのMMFも販売されていたのですが、超低金利になっていたので運用しても金利がほぼつかないので意味がないという事で運用・販売が廃止されていました。それが、最近は金利が少し上昇傾向にあるという事で、楽天証券から販売されるみたいですね。
MMFは、基本的には安全性の高い公社債で運用しているので、元本割れの可能性はゼロではないですが元本割れの可能性は極めて低いです。なので、余剰資金の置き場所としてMMFという選択肢があってもいいと思うのですが、似たような商品に個人向け国債もありますよね。
公社債投資信託(MMF)と個人向け国債(変動10年)って、どっちがいいんだろうね。ということで、少し比較してみようと思います。まずは、簡単に表で比較してみましょう。
項目 | 個人向け国債(変動10年) | 公社債投資信託(MMF) |
---|---|---|
金利 | 変動金利(半年ごと) | 変動金利(日々変動) |
金利算定基準 | 長期金利(10年)を参照 | 短期金利(コールレート)を参照 |
元本割れ | なし(財政破綻など緊急時除く) | あり(ほとんど元本割れはない) |
最低保有期間 | 1年間(1年未満の解約不可) | いつでも解約可(1営業日) |
税金 | 利子に対して約20% | 分配金に対して約20% |
販売先 | 銀行・証券会社 | 証券会社 |
個人向け国債(変動10年)は、半年ごとに金利が変動するタイプの国債です。基本的には元本割れはしない商品設計となっていますが、一応国債なので日本政府が破綻や滅亡(ないと思いますが)した場合には当然ながら元本の保証などはないです。日本が財政的に破綻などの緊急事態になった場合以外には基本的には元本が戻ってくる商品だと言えますね。
ただ、いつでも解約できるという訳ではなく、購入後から1年間は一切の解約が出来ない(購入者死亡・自然災害などの例外アリ)という縛りがあります。販売先も証券会社だけでなく銀行でも販売しているので、手軽に購入できますね。
一方で、公社債投資信託(MMF)は日々金利(配当金利率)が変動するタイプとなっています。公社債で運用しているので、元本割れのリスクは非常に低く、貯金感覚で保有しているという投資家も多いと思います。解約に関しては、いつでも解約が可能となっていて、投資資金の一時的な置き場所として活用されることが多いです。
個人向け国債も公社債投資信託も、どちらも元本割れのリスクが低く、キャッシュの置き場として活用されることが多いのですが、それぞれの金利水準はどんな感じなのだろうか。公社債投資信託は2016年ごろにはほとんどの証券会社で運用終了となっているので、その前年の2015年の金利水準を確認してみました。
2015年の金利
個人向け国債 0.33%
公社債投資信託 0.10%
個人向け国債の金利の方が、公社債投資信託の金利よりも少し高いんですよね。こうやってみると、公社債投資信託に預けるよりも個人向け国債に預けておいた方が少しだけ多く増える感じですね。
ただ、個人向け国債は購入後から1年間は解約が出来ないなどの縛りがあるので、短期的な資金ではなく当面使用する予定の無い資金を置いておくという感じになってくると思います。一方で、公社債投資信託は株式を売却した後に次の株式を購入するまでの短期的な資金の置き場として活用される場面が多くなってくるかなと思います。
特に、楽天証券の場合は外貨建て(ドル建て)MMFがキャッシュと同じような扱いとなっていて、米国株式を購入する際に保有している外貨建てMMFを自動的に売却して購入資金に充ててくれるような運用となっている事から、新しく販売する円建てMMFも同様にキャッシュと同じ様な扱いとなって日本株の購入時に円建てMMFを充ててくれることになると思います。
なので、当面(1年以上)動かす予定のない資金であれば個人向け国債を購入して、株式を売却した資金で次の購入まで証券口座に置いているだけの資金であれば公社債投資信託を購入していけばいいのではないかな。どうせ証券口座にお金を置いていても金利(利息)は付かないので、少しでも増やすために公社債投資信託などに動かしておけばいいと思います。
6月5日に新しく販売開始される楽天証券の公社債投資信託(MMF)。どのくらいの金利設定になっているのか楽しみですね。
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