今年に入ってから米国株市場は好調を維持していますね。そろそろ下がりそうな気がしているのですが、下がったかなと思ったらすぐに反発してまた元に戻ってきており、力強い展開が続いていますね。
特に大手ハイテク銘柄などは相変わらず値動きが力強く、テスラやエヌビディアなどは垂直にチャートが上昇しているかのような爆上がりなので、流石に怖いなと思っていますが、そんな思いを跳ね除けるようにグングンと上昇しています。
ハイテク銘柄最強!
長期的には確かにそうなんですが、短期的にはちょっと怖いかな
市場の雰囲気は強気な姿勢が優勢となっており、以前であれば下落するようなニュースであっても、下落はせずにそれを好感して上昇するなどしており、半年前とはガラッと雰囲気が変わってきています。
そんな強気な雰囲気が強まっている株式市場ですが、私は逆イールドが拡大している事が気になっています。今回は、その逆イールドについてのお話です。
相場は強気が支配している
現在の相場は、強気が優勢の雰囲気となっており、相場が下落をしてもすぐに買い戻しが入って相場を下支えしています。
恐怖指数をみても、「20」を上回ると不安が少しずつ高まってきている状態なのですが、現在は「15」と非常に低い水準となっており、不安感はあまりない状態です。
CNNが測定している投資家の心理状態を表している「恐怖と欲望のインデックス」でも、現在の数値は「80」となっており、強気どころか強欲が支配している状態となっています。
米国株は強気相場となっており、投資家の雰囲気も楽観的な感じになってきています。
リセッションなど関係なく、米国経済は力強く成長していくといった意見が多くなってきています。
逆イールドが拡大している
しかしながら、FRBが重要視している3か月債と10年債の差を測っている逆イールドにおいては、更に差が開いてきており、逆イールドの差は拡大中となっています。
逆イールドの差は、リーマンショックの水準を超え、ITバブルの水準も突破し、更には1970年代を越えて、1980年代の水準へと近づいてきています。
ニューヨーク連邦準備銀行が公表している逆イールド
今後、FRBが利上げを継続していくのであれば、短期国債と長期国債の金利差はますます広がり、逆イールドの差も大きくなっていきます。
最新の数値は「−1.71%」となっており、リーマンショックの「−0.45%」、ITバブルの「−0.70%」を遥かに超えており、1973年の「−1.59%」さえ超える水準となっています。
このまま進めば、過去最高水準に到達する可能性すらあると言う事になってしまいます。
イールドカーブから算出した景気後退確率
イールドカーブから算出した景気後退確率をグリーンブランド連邦準備銀行が公表しています。ニューヨーク連邦準備銀行も同じように景気後退確率を公表していますが、グリーブランド連邦準備銀行の表の方がみやすいので、そちらを掲載しておきます。
ちなみに、グリーブランド連邦準備銀行の景気後退確率は「77.8%」となっており、ニューヨーク連邦準備銀行は「70.8%」なので、少しだけ数値が異なりますが、非常に高い水準である事には違いありません。
グリーブランド連邦準備銀行の景気後退確率
これだけをみると、景気後退(リセッション)が引き起こされるのは間違いない水準となっていますよね。
高止まりする政策金利が景気へ与えるダメージがかなり大きく、景気後退を高確率で導く可能性があるために、あとはソフトランディングになる事を祈るしかない感じです。
まとめ
政策金利は高止まりしており、更に追加の利上げがされようとしています。市場の予測は「あと1回の利上げ」を想定していますが、パウエル議長が示唆しているように「あと2回の利上げ」が必要になってくるのかもしれません。
そうなってくると、ますます逆イールドの差は拡大していき、景気後退の確率も跳ね上がっていきます。
高い金利になって、まだ間もない事からあまり影響がないように感じられますが、高い金利が何かしらのダメージを与えているのは確実です。それが現れるか、それとも耐えきれるか、当然ながらそれによって今後の結果が大きく異なります。
今のところ、経済的に変わった様子がないから大丈夫という訳ではなく、経済危機は突然降ってわいてきたかのように発生して、連鎖的に拡大していきます。
景気が絶好調というわけでもないのに、インフレ退治のために歴史的な高金利の水準が暫く続くという事は、景気に無理な我慢を強いると言う事であり、一定の警戒は今後も必要なのではないかなと思っています。
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