投資をしていると、「この企業は成長する!」「将来有望な企業だ!」と思う企業に出会う事があると思います。そういった今後に期待出来る企業を仕込んだとしても、その企業が想定通りにすぐに成長するとは限りません。
実際に成長性がある企業だったとしても、その企業が成長していくまでに思ったよりも時間が掛かっていたりすることもあり、未来の株価の想定には誤差があったりすることがあります。
それでもジッと我慢を続けて、苦難の時間を乗り越えていく事でようやく大きな利益を掴み取る事が出来る事があります。
長期投資って、意外と難しいよね
(T_T)あの時、売らなければと思う事がよくあるよ
株の利益は我慢料だという言葉があるように、長期投資をする中で我慢の展開を強いられる事も多くあります。
今回は、実際に長期投資の天才の実力を垣間見た時のお話です。
誰もが知っている天才投資家ウォーレン・バフェット氏。
誰もが知っている投資家といえばウォーレン・バフェット氏ですよね。日本の商社への投資で話題となり、来日していましたね。バフェット氏が来日している事で思い出したのが、私が自分の投資体験を通して、バフェット氏の投資の凄さを実際に体感した事です。
アップルへの集中投資で大きな利益を上げているバフェット氏ですが、基本的には優良企業に対して長期投資を行い、じっくりと資産を増やしています。バフェット氏の昔からの代表的な投資先と言えば、コカ・コーラやアメリカンエキスプレスといった王道企業ですよね。
では、現在のバフェット氏(バークシャー・ハサウェイ)の保有株の保有量における順位を確認してみましょう。
1位 アップル
2位 バンク・オブ・アメリカ
3位 シェブロン
4位 コカ・コーラ
5位 アメリカン・エキスプレス
となっています。今でもコカ・コーラやアメリカン・エキスプレスを保有しており、これらの銘柄が保有銘柄の上位に食い込んでいます。でも私達は、バフェット氏がコーラやアメックスに投資をして大きく増やしている頃をリアルタイムでみていたわけではないです。
今でこそ、コカ・コーラやアメリカンエキスプレスは安定した超優良企業ですが、バフェット氏が投資をしていた頃は、まだ不安定な時期でもあり、長期投資に適した企業であるとは言えない部分もありました。
そうはいっても、天下のコカ・コーラやアメックスなんて、誰でも長期投資できるだろう。もっと無名の企業に投資をして成功するなら天才だと思うけどね。
そのように思っていた生意気な私の考えをいとも簡単に打ち砕いたのが、バフェット氏によるBYDへの投資でした。
そして、このバフェット氏のBYDへの投資は、私に先見の明と自分の分析力を信じる事、そして握力の大切さをリアルタイムに学ばせていただきました。
無名のBYDへの巨額投資
バフェット氏は、2008年にBYDへ巨額の投資を進めていきます。そして、2008年9月29日には、BYDへの投資が10%を超える大規模な物であることが報道されたのでした。
アメリカのミッドアメリカン・エナジー・ホールディングスが、BDYの発行済株式の10%を買い取ったのです。ミッドアメリカンは、バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが筆頭株主で、87.4%を出資していたのでした。
この頃のBYDという企業は、中国株に投資をしている人であれば名前ぐらいは聞いたことがあるといた感じで、世間一般的には全くの無名な企業でした。充電式電池メーカーといった感じで、電気自動車に関してはまだ開発途上だったのですが、2008年に量産型プラグイン式電気自動車(PHEV)を世界で初めて実用化して販売した企業でした。
世界で初めて量産型の本格的な電気自動車(PHEV)を販売したBYDですが、そもそも自動車製造事業を始めたのは2003年からという新興企業です。そんなヨチヨチ歩きの中国の自動車メーカーに突如投資を開始したバフェット氏。まさに驚きのニュースでした。
しかも、投資をしたというニュースが流れたのは、2008年9月です。そう、2008年9月というと、リーマンブラザーズが破綻して世界中の株式市場が大暴落した時ですよ。そんな時に、バフェット氏が中国の無名な電気自動車メーカーに2億4000万ドル(約250億円)を投資して、株式の10%を取得していたのです。
まさに「暴落時は買い」という格言をリアルタイムに実行するバフェット氏。
バフェット氏がBYDを購入したのは、このタイミングですよ。これ、貴方なら買えますか?
高値から実に56%の下落をしているBYD。リーマンショックの真っ只中で株式市場が恐怖のどん底の時に淡々と買い進めていく。しかも、その投資先は、まだ怪しさ満開だった10年以上も前の中国株。そのうえ、大型銘柄ではなくBYDという無名な新興自動車メーカー。
自分の分析力・情報力に絶対の自信がないと買えない銘柄であり、買えないタイミングでもありますよね。
もちろん、私も参戦w
バフェット氏のBYDへの巨額投資。株価は猛烈に反応します。あのリーマンショックが起きた9月にも関わらず、BYDの株価は僅か1日で41%も暴騰するという暴れっぷりを見せつけます。恐るべしバフェット効果。
今でこそ、BYDの名前を聞いたことがある人も一定数いると思いますが、当時は本当に無名の企業です。電気自動車と言えばテスラが有名ですが、当時のテスラはまだ初代のロードスターをようやく販売開始した時期で、量産型セダン「Model S」の販売は2012年なので、この頃はまだ販売されていません。
日本の日産が販売していた電気自動車リーフも2010年からの販売なので、電気自動車自体が全くのニッチな市場であり、電気自動車というだけでも怪しいのに、そのうえ中国企業だなんて、役満レベルの胡散臭さです(笑)。
いずれガソリン車は衰退していき、EVの時代が来るはず!
あのバフェット氏が電気自動車に投資を開始した事で、投資家の間でも突然として電気自動車が話題に上がり始めます。
バフェット氏を投資の師と仰ぎ、バフェット氏の本で投資の勉強を学び、バフェット氏を尊敬している私は、バフェット氏が購入したというだけで買いたい気持ちになってきています。
「成長企業大好き、リスク上等、目指せ億り人」がモットーだった私はBYDに投資をしようと決意するのです(笑)
そして打ちのめされる
ただ、流石にリーマンショック真っ只中の時に投資をする勇気はなく、暫くは様子を眺めていました。
そうこうしているうちに、あれよあれよとBYDの株価はジェットコースターのように急上昇していきました。
ちょっと手が出ないね
上がり過ぎて買えないよ
急上昇して85.5香港ドルまで上がっていた株価は、その後に急落を始めます。そして30%近くの大幅な下落となっていきます。
今がチャンスかも!
電気自動車の未来を信じて私はBYDへの投資を開始します。
バフェット氏が購入してから、僅か1年の間にBYDの株価は、なんと10倍になるというバブル状態に!
流石に上がり過ぎだろうという事で、そこから30%も急落したのですが、その場面で私は今がチャンスとばかりに颯爽とBYDに乗り込んで行ったのです(笑)
私が購入してから、暫くすると再び株価は上昇を始めていきました。そして上場最高値を狙いに行くかのような素晴らしい上昇ダッシュを見せ始めたのです。
いいタイミングで買えたんじゃないの
ふふ、私の勝ちだなw
購入後に、右肩上がりで上昇していくBYDをみて勝利を確信する私。そして、暫くはBYDの調子も良かったのですが、ある程度の上昇をすると、そこから徐々に勢いがなくなっていき、段々と下へ下へと下降していきます。
気が付けば、BYDの株価は奈落の底に沈んで行ってしまうのです・・・。
私が購入してから1年半後には株価が12香港ドルにまで下がっており、私の買値の60ドルから考えると、なんと80%も下落している事になるんですよね。
ボロボロやん
塩漬けやん
諦めムードが漂い、敗戦濃厚な状態。しかもボロ負け確定に近い状態に放心状態です。
ただ、救いだったのはその後に少しだけ値を戻しており、ある程度株価が回復した時に売る事になりました。
私の買値は60香港ドルで170万円ほどを投資していたのですが、結局は38%下落した状態の株価で損切をする事となり、65万円もの大金が飛んでいく事のなったのです。
BYDのバカヤロー
BYDが悪いというよりは、私が悪いですよね(笑)。高騰している場面でスケベ心を出してBYDに手をだして、見事に返り討ちにあいました。
そして、それから長い月日が流れていきました・・・
そして時代が追いついた
あれからもBYDの動向は少し気になって、時折株価を確認したりしていました。まるで、別れた彼女が忘れられなくて、友達に近状を聞いているダサい元カレみたいだよね(笑)
その後のBYDは、私の邪な期待に応えるかのように低空飛行を続けており、上りもせず下がりもせずにボックス圏の動きをしながら10年近くも同じような株価帯をウロウロとしていました。
そんな眠れる獅子がとつぜん目を覚ます時が来たのです。
環境保全のために、各国が相次いでガソリン車の販売廃止に動き出し、電気自動車の普及を後押しするようになってきたのです。まさに時代は「EVの時代」。テスラがもてはやされ、そしてテスラを追いかけていくBYDにも光があたるようになってきたのです。
BYDの株価は、再び大きく上昇する事になるのです。
大きく上昇し始めたBYD。その肥大化した株価を美味しそうに食べ始めたのがバフェット氏です。
リーマンショックの真っ只中にBYDへと投資を行い、250億ドルで10%の株式を取得したバフェット氏は、大きく育ったBYDの売却を開始します。
バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中で、第8位になるまでに大きく育ったBYD。250億ドルで投資したBYDが6650億ドルと約26倍にも時価が膨れ上がっており、まさに熟れ熟れの食べ頃に育っていました。
BYDバブルに翻弄されて恐ろしいまでの高値掴みをしていた私でさえも、あのままホールドを続けていたら約4倍になっていたのだから、まさに「株の儲けは我慢料」というやつですよね。
先見の明だけではダメだ
自分の信念と判断を信じてBYDが成長するのをじっと待っていたバフェット氏。
一方で、BYDの荒い株価の波にのまれてスゴスゴと退散をした私。
でも、いつまでも上昇する気配のない保有株をじっと辛抱強くホールドを続ける事の出来る投資家がどのくらいいるのだろうか?数年どころか10年近くも動かない保有株を自信をもって保有し続ける事が出来る投資家なんて極少数だと思います。
電気自動車がいずれ普及していくだろうという事は私も強く思っていました。欧米はともかくとして、中国においては膨大な人口と悪化する環境汚染を考慮すると、電気自動車がベターな選択肢であり、政府当局も強く後押しするだろうというのは容易に想像できました。
でも、それにいち早く気付いたからといって投資に成功するとは限らないです。
需要と供給、そして株式市場のテーマとタイミング。
そのすべてが噛み合わないと、例え投資の答えが合っていたとしても上昇などはしません。
そして、その答えは10年以上の長い期間をかけてようやく満額回答が出される事があります。それまで耐え忍び、ホールドを続けてようやく美味しい果実にありつく。本当にそんな長期投資が誰にでも出来るのだろうか?
バフェット氏が長期投資したコカ・コーラやアメックスなども低迷していた時期がありました。それでも長期投資を続けてきたバフェット氏。長期投資なんて黙ってホールドしていればいいだけなので、簡単な投資方法だと思っていたら大間違いです。
長期投資ほど難しい投資はないと思います。
優良な銘柄をガチホするだけ。
こんなシンプルかつ明瞭な答えがある投資方法が実は意外と難しいのです。
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