FOMCにて政策金利の発表がありましたね。少し前まではインフレを抑えるために0.5%の利上げが必要という予測が大勢を占めていたのに、数日で0.25%利上げへの引き下げや利上げ無し(現状維持)になる可能性もあるという市場予測が出るぐらい今回のFOMCが開催される直前は混沌としていました。
先ほど終了したFOMCで発表された政策金利は、0.25%の利上げとなり引き上げ幅については市場の想定通りになりましたね。
もうそろそろ金利は打ち止めなのかな?
FRBでさえも今後の予測は難しいみたいだよ
市場の予測では、最近の銀行の厳しい状況や今後の景気の動向などによって利上げ局面は終了するだろうと思われていましたが、FRBは利上げを継続するようです。
FRBも市場も、今後の経済状況や突発的な出来事などによって右往左往する場面が増えてくるかもしれませんね。
今回のFOMCの確認
先ほど終了したFOMCでは、0.25%の利上げが発表されました。やはり、インフレに対応するためには利上げは必要であり、銀行への影響を考慮しながらも金利を引き上げてインフレ対応を継続するという選択肢でした。
ここまでは事前の市場予測と同じだったのですが、市場の予測と大きく異なったのは今後の金利をどうするのかという点です。市場予測では利上げは一旦ストップして、7月からは利下げを行っていくという想定でした。
昨日までの市場の金利想定
ところが、FOMC後のパウエル議長の発言はタカ派であり、「銀行システムは健全で強固である。経済指標は想定を上回る勢いで経済やインフレが進んでいる。必要であればさらに利上げする」と述べており、年内の利下げを否定して、更なる利上げがある事を示唆していました。
FRBの想定では、今後はあと1回0.25%の利上げをして5.25%まで金利を引き上げ、その後は年内は金利を維持して、来年から利下げに転じるという感じのようです。
FRBが発表したドットチャート
2023年の年末時点での政策金利の誘導目標値は中央値で5.125%(5.00%~5.25%)となっており、前回の去年12月に示した水準と同じであったが、2024年末の時点での想定では4.25%と前回の4.125%から引き上げています。
今後の経済の見通し
FRBが3か月に1回まとめる米国の経済状況の見通しも確認しておきましょう。
GDPの成長率は、2023年が0.4%成長、2024年は1.2%成長となっており、前回(去年12月)の予想は2023年が0.5%成長、2024年が1.6%成長だったので、経済成長は以前の想定よりも落ち込むと予測しています。
物価指数である個人消費支出(PEC)物価指数の上昇率の予測は、経済指標が年初から力強い状態が続いていた事を反映しており、2023年が3.3%と前回の3.1%から引き上げています。2024年と2025年は前回の想定を据え置いていました。
コア指数の上昇率も、2023年は3.6%で2024年は2.6%となっており、前回予測よりも引き上げています。
失業率については、2023年が4.5%となっており、前回予測の4.6%から少し引き下げています。雇用状態は以前の想定よりも堅調になるという想定のようです。
景気は減速していくけれども、インフレは思ったよりも下がっていかないという想定のように感じます。
これはFRBにとっては困った状態だと思います。
クレクレ相場になる
市場の予測では、少し前までは利上げは7月頃まで続き、5.75%ぐらいまでは利上げが行われると想定されており、インフレの状況によっては6.0%ぐらいまでは利上げされるのではという感じでした。利下げの時期についても年内には行われないという想定が一般的でした。
それが、シリコンバレー銀行の破綻をきっかけに急激に引き上げた政策金利の悪影響が強く意識されるようになり、利上げも今回で終了して、7月頃からは利下げが始めっていくというのが市場の想定でした。
ところが蓋を開けてみれば、今回のFOMCでは更にあと1回0.25%の利上げをしたうえで、年内の利下げはないという想定になっており、FRBが発表した今後の想定は市場予測とは大きく異なっていました。
今後は、市場の願望にFRBがどう応えるのかが焦点になってくると思います。
景気が減速していったり、銀行などへの不安が高まれば、市場は株価の下落という形でFRBに利下げを要求します。
インフレの抑制と景気の状態に挟まれて、FRBは厳しい選択を迫られる場面が訪れる事になるでしょう。
FRBは年内の利下げはないという想定ですが、市場は利下げを要求して株価が下る事が続くと思います。
クレクレ相場の到来です。
景気は減速する
今後の景気は悪化していく可能性が高いと思っています。リセッションは高確率で発生すると考えています。
その際に適度に利下げを行っていける環境であれば良いのですが、利下げを行う事がなかなか難しい状況になっていくと、景気の悪化と金利高の二重苦の状況になって、米国経済はかなり苦しむことも想定されます。
これから先の展開は、少しの波乱や少しの改善によって一喜一憂する場面が多くなり、ボラティリティが高い展開が続いていくのではないかなと思っています。
金利上昇局面が終了して、利下げ局面がきたとしても、素直に喜んでばかりはいられない展開になっていきそうな気がしています。
コメント