先週の週末に突然訪れた大きなニュース。シリコンバレー銀行の破綻。あまりに急に訪れた展開に市場のプチパニック状態でしたね。ダウは1.0%下落、S&P500は1.4%下落、ナスダックは1.7%下落となっており、米国株式市場は軒並み大きな下落に見舞われていました。
あまりの衝撃ぶりに、株式市場が以前から大きく注目していた雇用統計(失業率、非農業部門雇用者数、平均時給)が霞んでしまうほどでしたね。
そういえば、雇用統計の発表あったよね
(-_-;) SVBの破綻で雇用統計が頭の隅っこへ追いやられましたね
信用不安から取り付け騒ぎへと、そして破綻とあっという間のスピードでした。なんかヤバいみたいだぞと思っているうちにドカ~ンと炸裂した感じでしたね。
果たしてシリコンバレー銀行の影響はどうなっていくのでしょうか?
シリコンバレー銀行の破たん
そもそもシリコンバレー銀行なんて名前を聞いたのは今回が初めてだという人が大半なのではないでしょうか。私も今回の事で初めて聞いた銀行ですが、シリコンバレー銀行は全米で16番目の規模の銀行という事なので、それなりの規模の銀行という事になります。
日本の銀行でいうと、15位がセブン銀行、16位が関西みらい銀行、17位が広島銀行という順位なので、このレベルの規模の銀行が破綻したという事になります。そりゃ、大きなニュースになりますよね。
今回の騒動の経緯は、ほとんどの方がご存知だと思いますが、簡単に内容を復習してみましょう。
シリコンバレー銀行は、企業名から想像できるようにスタートアップ企業に強みがある銀行でした。顧客の多くにスタートアップ企業を抱えていたのですが、最近の金利の高騰により、スタートアップ企業は資金を調達するのが困難になっていきました。そこで、銀行に預けている資金(預金)を引き出し始めたのです。
スタートアップ企業の相次ぐ預金引き出しによって、顧客に渡す現金が枯渇し始めたシリコンバレー銀行は保有している債券(国債等)を売って現金化を急ぎますが、債券を売るという事は損失を出すという事になります。
例えば、1億円の国債を買う必要があるとして、貴方ならどちらの国債を購入しますか?
(1)1年前に発行した利息0.1%の国債
(2)現時点に発行した利息5.0%の国債
誰でも、(2)の5%の利息が貰える国債を買いますよね。という事は(1)の金利0.1%の国債は誰も興味がないという事です。そんな人気のない(1)の国債を中途売却しようとしても買い手はほとんどいなく、安値で買いたたかれてしまうのです。
なので、満期まで保有していれば1億円になるはずの(1)の国債を、誰も買いたいと思う人がいない状態で売却せざるを得ない為、1億円の国債を2000万円とか3000万円とかの安値で売り払わざるを得なくなり、銀行の資本が棄損していくのです。
そういう状態であるという事が明るみに出ると、取り付け騒ぎになり、更に資金が流出してしまい、なすすべなくシリコンバレー銀行は破綻してしまいました。
他の銀行への影響
さて、ではシリコンバレー銀行の破綻の影響ですぐに他の銀行も同じように取り付け騒ぎが発生するのかというと、それは大丈夫だと思っています。シリコンバレー銀行のようにすぐに資金繰りに困って債券を損失覚悟で売却するような事態になる事はないと思います。
FRBなどが銀行協会などと連携を行い、柔軟な緊急融資を提供したり・基金の創設などの処置を行って、システミックリスク(ある金融機関が決済不能に陥った場合、1箇所で発生した支払不能等の事象が連鎖的に波及し、決済システム全体を機能不全に陥れてしまうリスク)になる事を避ける対応をとるはずです。
1~2日ぐらいは騒動の余波で株式市場が下げる局面があるのかもしれませんが、数日たてば落ち着きを取り戻していくと思います。そもそも、FRBがこの騒動を収める事が出来ないようであれば、それこそ今後に何かしらの騒動が起こったとしても制御不能になり、リーマンショックのような大混乱必至となるでしょう。なので、流石に今回の混乱であれば抑える事は可能だと感じます。
ただ、今回の騒動が沈静化したからといって、今後も株式市場が大丈夫だという事ではないと思います。
厳しい対応を迫られるFRB
そもそも金利を急激に引き上げている状況にある以上は、こういった資金繰りに困る企業が出てくる事は想定の範囲内だと思います。そういう状況になったとしても、毅然とした態度でインフレ退治に邁進するというのが従来のFRBの姿勢です。
ただ、だからといって景気があまりにも悪化してしまうのを放置するわけにもいかず、インフレ退治と景気悪化の狭間に立たされながら厳しい状況を乗り切るために奮闘している最中に起こった今回のシリコンバレー銀行の破綻は、FRBにとって難しい選択を迫られる事になってしまいます。
今月の利上げをどうするのかは非常にセンシティブな状況となりました。
14日の消費者物価指数の状況にもよりますが、景気への影響を考慮して0.25%の利上げにしてしまうとインフレの長期化を招きかねずにその後に更に困る事になる可能性を高めてしまいますし、インフレ退治に邁進するために0.50%の利上げにすると今度は景気に強いブレーキを掛け過ぎる可能性が高まって急激な景気悪化を引き起こすかもしれません。
どっちを選んだとしても茨の道を進むことになりかねず、どちらをとっても株式市場にとってはマイナスな状況になりそうな雰囲気に感じています。
難しい状況で勝負をしなくてもよい
現在の相場は、基本的には下落相場となっており、右肩下がりに近い相場となっています。先行きも不透明であり、不安定要素が盛りだくさんの状況となっています。
こんなややこしい相場の時に無理に勝負に行く必要などはないと思っています。
ちょっと下げたり、またはちょっと上げたりしただけで、「利益を取りこぼさないように」とか「乗り遅れないように」とか思う必要はなく、暫く様子をみていればいいと思います。
個人的には、今年の6月頃まで下がり基調だと思っているので、とりあえずは当面は株式市場の動きを静観しているつもりです。
自分なりに納得できる水準になってから動いていけばいいのではないかなと思っています。
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