アマゾンの消えた強み

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最近の米国株市場は弱いですね。ある程度反発しても、暫くするとジリジリと下がっていく展開となっていきますね。

今年は大きく下落して終わってしまいそうですね。年始の頃の勢いや雰囲気は僅か1年ほどでボロボロと崩れ去り、下がり続けた1年間になりそうです。

せめてクリスマスシーズンや年末年始ぐらいは明るく終わりたい所なのですが、さてどうなるでしょうね。

では、今回はアマゾンの消えた強みについてのお話です。

目次

アマゾンの強み

アマゾンには様々な強みがあります。EC企業としてシェアトップを取っていたり、ECにおけるプラットホームを築き上げていたり、クラウド事業でトップシェアを取っていたり、最先端のフルフィルメントセンター(物流拠点)を構築していたりと、様々な強みに惹かれてアマゾンに投資をしている人も多いと思います。

そのアマゾンの強みの1つに豊富で成長しているフリーキャッシュフローを挙げる人も多いと思います。

私もアマゾンに投資を決めた要因の1つにフリーキャッシュフローが豊富だというのがあります。

毎年フリーキャッシュフローを増やしており、豊富なキャッシュを基に設備投資や新規事業へと莫大な資金を投下してライバル企業を突き放す戦略をとっており、多額の研究開発費が次なる技術や最先端のシステムの構築を後押ししていました。

アマゾンのフリーキャッシュフロー(2015年~2020年)

2017年~2018年前半は設備投資(投資キャッシュフロー)が多かったのでフリーキャッシュフローは減少していますが、基本的には長い目で見れば右肩上がりになっており、フリーキャッシュフローを増やしてきています。

アマゾンの決算発表におけるプレゼンテーション資料でも一番先頭にフリーキャッシュフローの表が掲載されており、業績や利益の説明の前にフリーキャッシュフローからスタートします。アマゾン自身もフリーキャッシュフローを重要視しています。

消えた強み

2020年ぐらいまでは順調に成長していたフリーキャッシュフロー。

しかしながら、2021年頃からは状況が一変します。

営業キャッシュフローが減っていくのですが、逆に投資キャッシュフローは年々増えていく状態でした。コロナ禍での受注増加に対応するために過剰な設備投資(物流網・物流倉庫の急激な拡大)を行ったために、その負担が大きくのしかかっているのです。

その為、アマゾンの強みであるフリーキャッシュフローが最近では大きく減っており、ついにはマイナスとなってしまっています。アマゾンの強みであったフリーキャッシュフローは大きく崩れ去ってしまったのです。

年度営業キャッシュフロー投資キャッシュフローフリーキャッシュフロー
2020年1Q397億3200万ドル153億9500万ドル243億3700万ドル
2020年2Q512億2000万ドル193億6800万ドル318億5200万ドル
2020年3Q552億9200万ドル257億9100万ドル295億0100万ドル
2020年4Q660億6400万ドル350億4400万ドル310億2000万ドル
2021年1Q672億1300万ドル408億0300万ドル264億1000万ドル
2021年2Q593億2200万ドル471億7600万ドル121億4600万ドル
2021年3Q546億7100万ドル521億1900万ドル25億5200万ドル
2021年4Q463億2700万ドル553億9600万ドル-90億6900万ドル
2022年1Q393億2400万ドル579億5100万ドル-186億2700万ドル
2022年2Q355億7400万ドル590億6100万ドル-234億8700万ドル
2022年3Q396億6500万ドル593億5100万ドル-196億8600万ドル

2021年2Qからフリーキャッシュフローは大きく減り始め2021年4Qにはマイナスに転落します。

そして、その後もフリーキャッシュフローはマイナスに転落したままです。辛うじて最新の決算である2022年3Qは前期よりもマイナスの幅を縮小していますけどね。

株価の確認

アマゾンの株価は最高値からみると大きく下落しています。

業績の伸び悩み、利益の低下、設備投資の負担、今後の業績の見通しの厳しさなど、先行きは厳しい状況が続いています。

アマゾンの強みの1つであるフリーキャッシュフローが減少した時にアマゾンの株を手放していれば良かったのではないかと思います。実際にフリーキャッシュフローが大きく減った2021年3Qの時やフリーキャッシュフローがマイナスになった2021年4Qの時は非常に悩みました。

アマゾンの大きな強みの1つであるフリーキャッシュフローが大きく棄損しているのにアマゾンに沢山投資をしていてもいいのだろうか?と考えて、一部ポジションを落とす事を検討したのですが、結局は「そのうち改善するかも」という淡い気持ちを抱きながらズルズルと保有していました。

結果として、だいぶ遅くなってから(2022年5月)アマゾンは売却したのですが、フリーキャッシュフローがマイナスになった時点で手を打つべきでしたね。

こうやってみると、売却したタイミングがかなり遅いのがよく分かりますよね。

フリーキャッシュフローが大きく減った時に売れたら良かったのですが、その時点で売るのを躊躇したとしても、その次のフリーキャッシュフローがマイナスになった時点で手を打つべきでしたね。それでもそこで売れなかったとしても、その後のフリーキャッシュフローのマイナスが大きく拡大した時点で流石に見切るべきでしたね。

投資した基準の1つにフリーキャッシュフローが豊富で成長しているというのがあったのであれば、それが消えた時点で保有を続けるのはよくないです。

まとめ

フリーキャッシュフローが大きく減った際にも「フリーキャッシュフローが一時的に減る事は問題ないし、そのうち回復すればいいだろう」と思っていたし、フリーキャッシュフローがマイナスになった時も売却しようか迷いながらも「いずれプラスに戻れば問題ないかな」と楽観的に判断したり、フリーキャッシュフローのマイナス幅が大きくなった際には「これはマズいかな」と思いながらも判断を先送りしていました。

保有株に対して、ついつい甘い見通しを立てて楽観的に考えてしまいます。

でも、その株を購入しようと思った理由が棄損したのであれば、早々と手を打つべきです。

全てを処分できなかったとしても、一部だけとか半分だけとかを処分しながら様子をみるという事をしながら先行きを確認していく事が必要です。

このあたりは頭で分かっていても。実際に売る段階になれば迷ってしまって、先送りにしてしまう傾向があります。

そこは改善しながら投資を続けていかないといけないですよね。

  

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