5月14日の米国株市場において、エヌビディアのライバルとも言われている AI半導体メーカーのセレブラスが新規上場(IPO)する事になっています。この記事がアップされる時には上場済みであり、初値がどのぐらいになっているのか注目されていると思います。私も上場初日に買おうかなと思っています。

AI半導体はブームになっているから人気が出そうだね



人気に実力が伴うのかを注目する必要があるよね
セレブラスは AI半導体メーカーであり、5月14日に新規上場(IPO)します。公募価格は 185ドルであり、銘柄コード「CBRS」となっています。ソフトバンクとアームがセレブラスを買収しようとしていたようですが、実現はしなかった(セレブラス側に拒否された)ようです。
セレブラスは、なぜ注目されているのか? それはエヌビディアのライバルと言われているからです。では、何がエヌビディアのライバルと言われている理由なのでしょうか。
セレブラスは、AI半導体を作っているのですが、エヌビディアの半導体とは少し製法が異なります。通常の半導体はシリコンウェハーを切り分けて小分けにして作りますが、セレブラスは一般的なGPUのように小さなチップを大量接続する方式ではなく、切り分けずにウェハー1枚を丸ごと1つのチップとして使う「ウェハー・スケール・エンジン(WSE)」という非常に特殊な設計を採用しています。
エヌビディアを含む従来の半導体(GPU)は、円盤状のシリコンウェハーから数十〜数百個の小さなチップを切り出して製造します。そして、AIに大規模な計算をさせる際は、数千個のGPUをケーブルやネットワーク(NVLinkなど)で繋ぎ合わせて1つの巨大な頭脳として機能させています。しかし、この「チップ間の通信」に時間(レイテンシ)と膨大な電力がかかってしまうのが弱点となっています。
一方、セレブラスの最新チップ「WSE-3(Wafer-Scale Engine 3)」は、シリコンウェハー1枚を切り分けず、そのまま1つの超巨大なチップとして使用します。 エヌビディアの主力GPU(H100やB200など)と比較して約50倍以上の面積を持ち、半導体同士をつなぎ合わせる必要がない為、チップ間の物理的な通信ロスを完全に無くすことで、通信遅延を極限まで減らしています。
AIが文章を生成したり計算結果を出力したりする「推論」フェーズでは、チップ内のデータをどれだけ速く移動できるか(メモリ帯域幅)が鍵になります。セレブラスはエヌビディアとは違って、1つの巨大な AI半導体を作り上げる事で小型半導体を繋ぎ合わせる際のロスを無くし、同じ規模の AIモデルを動かした場合、エヌビディアの最新システムよりもはるかに速いスピード(1秒あたりのトークン生成数)で AIを応答させることができます。
では、なぜエヌビディアは小型の半導体を連結させるなどという方法を取っているのだろうか? セレブラスのように大型の AI半導体を作ればいいのにと思うのですが、この辺りは企業間の戦略の違いが現れています。
小さなチップを組み合わせる方式なら、1枚でPC向け(GeForce)に、数枚束ねてデータセンター向け(H100/B200)にと、柔軟に製品ラインナップを作れます。製造ラインも共通化でき、圧倒的なコスト競争力が生まれます。エヌビディアはあらゆる企業の需要に対応できるような商品構成を作っているのです。
一方で、セレブラスのウェハー 1枚丸ごと使う巨大な AI半導体というシステムは、大型で性能の向上は図れますが、価格も消費電力も規格外で、超巨大なデータセンターを持つ企業(OpenAIなど)しか使えません。エヌビディアにとって、この極端な市場だけに特化した製品を作るのは、今のビジネス規模やビジネス需要からすると合理的ではないのです。
また、この AI半導体の大型化には欠点が存在します。それが歩留まりが低くなる(欠品・欠損・不具合が高くなる)という事です。半導体は、シリコンウエハー上に大量生産されます。しかしウエハーには必ず微細な欠陥(ゴミ・不純物・加工誤差)が存在します。半導体チップが大きくなればなるほど、欠陥にあたる確率が大きくなり、不良品率が跳ね上がります。
イメージとしては、ショートケーキ(通常の半導体)とホールケーキ(大型半導体)と思ってもらえばいいかな。お店で販売する際に、ショートケーキだと人数によって適度に分けれるし、味や種類も豊富なバリュエーションにする事が出来ます。一方でホールケーキとなると1人では食べきれないし、複数人で食べる事が前提となってしまいますが、価格は抑える事ができるので大勢で食べるならホールケーキのほうがコスパは非常によくなりますよね。埃やゴミがケーキに付いたとしても、ショートケーキならゴミが付いたケーキを処分すれば他のケーキは大丈夫だけど、ホールケーキだと1個丸ごと処分する必要があり、非効率になっていきます。
半導体のウェハー(円盤状の基板)には、どうしても製造過程で数ミリ単位の微細な欠陥が混じります。エヌビディアのように、100個のチップを切り出す場合、欠陥が3箇所にあっても、ダメになるのは3個だけで、残りの97個は売ることができます。
一方で、セレブラスのように巨大チップを作ると、もし1箇所でも欠陥があれば、ウェハー1枚(数千万円分)がすべてダメになってしまいます。そこで、セレブラスは大型 AI半導体を製造するにあたって、このような不具合の問題を解消するようにしています。
それが、100個のコアのうち、数個が壊れていても他が補填するという、「膨大な予備(冗長性)を持たせた特殊設計」を構築しているという点になります。エヌビディアのように「1つ1つのコアが完璧に動くこと」を前提とした汎用的な設計とは真逆の考え方(特殊設計)となっているのです。
エヌビディアの半導体はあらゆる企業が使えるような小型の半導体となっており、用途や規模に合わせて組み合わせて巨大化する事も可能となっています。一方で、セレブラスの半導体は最初から巨大 AI半導体だけを製造しており、使用できる企業が限られていますが、性能は通常の半導体に比べると非常に良くなっています。なので、巨大 AI半導体はセレブラスの独壇場のようなニッチな市場となっています。
AI需要が拡大している中で、半導体の需要も急拡大していますが、多くの半導体企業は小型の半導体を製造していますが、セレブラスは大型 AI半導体を製造している少しニッチで尖った AI企業として注目されています。そんな期待の企業が新規上場したので、今後も注目していきたいと思います。
(追記)
夜中に起きて新規上場したセレブラスを 315ドルで 40株(約 200万円分)購入しました。大きく成長してくれるといいなと願いながら保有しておこうと思います。




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